不当解雇
日本の法律では簡単に従業員を解雇することは出来ないと定められています。 従業員を解雇するには、しっかりとした決まりがあり、その条件を満たしていない限り解雇としては認められないのです。不当解雇はこうした法律や就業規則などの決まりに従わず会社が一方的に労働契約を解約する行為を言います。
2017.11.24

    不当解雇と未払い賃金、退職金、有給休暇

    解雇とは、いわゆる「クビ」になることですが、解雇された場合には、解雇そのものの問題だけではなく、未払い賃金や退職金が支払われない場合や、有給休暇の消化が認められないなど、さまざまなトラブルが発生することがあります。

    それぞれの要件を確認し、しっかりと請求していくことが大切です。

    ここでは解雇された場合や、会社が倒産してしまった場合に発生しがちな未払い賃金、退職金、有給休暇の消化をめぐるトラブルについてご紹介します。

     

    1.退職に伴う諸問題

    退職した場合には、さまざまなトラブルが発生することがあります。とくに解雇された場合や会社が倒産した場合などは、退職金の支払いがされなかったり、未払い賃金が支払いがされない、などのトラブルが発生します。

     

    とくにブラック企業などでは、そもそもどうして自分が解雇されたのか分からないということも多く、「解雇は無効であると主張するべきか」という問題と併せて、未払い賃金や退職金をどう確保すべきかについても検討する必要があるケースもあります。

     

    このような場合は、解雇を不当解雇であると主張する件と併せて、退職する際に発生しがちなトラブルについても、事前にしっかりと知っておくことが大変重要です。

    2. 未払い賃金がある場合

    未払い賃金がある場合、会社は労働者が退職して請求されて、7日以内に支払いをする必要があります。この場合の未払い賃金の計算は、前回の賃金締切日から退職した日までの日数分の賃金を計算することになります。

     

    なお、未払い賃金がある場合には、労働契約、就業規則または賃金規定を確認し、月の途中で退職した場合でも1か月の給料がもらえるかどうかを確認しましょう。

    時間給で働いていた場合には、前回の給料の締切日より退職の日までの働いた労働時間を計算します。

    会社に請求しても未払い賃金の振込みがない場合には、請求書を作成して内容証明郵便で会社に請求する方法などがあります。

     

    (1) 請求は「時間との勝負」

    会社が倒産した場合で未払い賃金がある場合、法律では、労働者への支払いはある程度優先されることになっていますが、取引先への債務がある可能性が高いので、請求する際はまさに「時間との勝負」になります。

    先取特権という権利を利用して、強制執行手続きで強制的に回収することもできますが、法律知識と煩雑な手続きが必要となりますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

    (2) 賃金の立替払いの制度もある

    会社の経営状況が悪化し、既に法的な破産手続きが取られているケースで賃金の支払いを受けることができない時には、「賃金の立替払いの制度」を利用することができます。

    「未払賃金立替払制度」とは、会社が倒産して賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。立替払をする額は、未払賃金の額の8割です。

     

    ただしこの制度を利用するにしても、要件が複雑ですし煩雑な手続きが必要となるので、やはり早めに弁護士に相談するのが得策といえるでしょう。

    2.退職金がもらえない場合

    退職金は、法律上当然にもらえるものではありません。

    労働基準法でも、退職金について必ず支給しなければならないと規定されているわけではありません。

    ただし労働基準法第89条第1項3号の2では、「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項」が規定されていますので、退職金を支給するかどうかについては就業規則を確認する必要があります。

    (1) 支給条件を確認する

    会社の就業規則や労働協約に退職金の支給に関する規定があれば、それを根拠に退職金を請求することができます。

    就業規則や労働協約をチェックする際には「退職金の支給の有無」「退職金が支給される要件(支払い時期、支払い方法、勤続年数など)」「懲戒解雇された場合など、退職金を受給できない場合の規定があるか」などについて確認しましょう。

     

    なお、退職金についての規定がない就業規則の場合には、そもそも退職金の請求はできない、ということになりますが、規定がない場合でも過去に退職金を支給されていたり、それが慣習となっているようなケースであれば、退職金を請求できる可能性はあります。

    (2) 懲戒事由を主張されたら

    退職金を支給するという就業規則の規定があった場合でも、懲戒解雇された場合には退職金が不支給となる可能性が大きくなります

    しかし、そもそもの懲戒解雇自体が正当な理由がないとして、無効だと主張できるケースもあります。

    また、たとえ懲戒解雇された理由が妥当であったとしても、退職金にはこれまでの給与の後払いとしての性格も含まれていますので、会社に対してよほど大きな損失をもたらしたとか、害悪をもたらす背信行為があったなどという場合でない限り、後払いする給与のすべてがまるっきりなくなってしまう、というようなことはありません。

    3.有給休暇がある場合

    有給休暇は、労働者の身体や精神をリフレッシュさせることを目的として、所定の休日以外に休暇を与え、その間の賃金を支払うという制度です。

    有給休暇は、労働基準法第39条で「使用者は、その雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定していて、「有給休暇は労働者の権利である」としています。

     有給休暇取得は労働者の権利

    近年、「退職時に有給休暇を取得させない」という退職時の有給休暇トラブルが増えていますが、有給休暇は国が認めた労働者の権利であり法律上の制度です。

    労働者として、有給休暇を取得し行使することができますので、諦める必要はありません。

    ただし、社会人の最低限のマナーとして、きちんとした引継ぎもしないで有給休暇を取得するというのは、別の意味で問題があります。

     

    もし会社が労働者に有給休暇を取得されると引継ぎなどができないので困る、という事情がある場合には、会社は労働者に対して有給休暇の買い取りの交渉をして、引継ぎをするよう依頼することはできます。

    この「有給休暇の買い取り」は原則として認められているわけではありませんが、有給休暇が未消化である場合に、その有給休暇を会社が買い上げることがとくに違法となるわけではありません。

     

    以上、解雇された場合など退職時に伴うさまざまな問題について、ご紹介してきました。

    会社とひとたび争うことになると、労働者個人が会社を相手に交渉を行うことは大変ですし、労働者の権利を裁判所に証明するのはもっと大変です。

    早めに弁護士に相談して、必要となる書類や証拠についてアドバイスを受けることをおすすめします。

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