残業代
所定労働時間を超えた業務時間を残業と言い、その残業に対して支払われる賃金を残業代と言います。残業代は法定内残業(法定労働時間内の残業)と法定外残業(法定労働時間外の残業)によって残業代の単価の計算方法が変わります。法定労働時間とは労働基準法第32条により定められた労働時間の上限を言います。
2018.05.07

    残業代が請求出来ない?!残業代が請求出来ないケースとできるケースを把握しましょう。

    残業代が出ない・・・・と悩まれている方の中には「残業代の請求が出来ない契約」となっている方もいらっしゃいます。

    しかし、契約内容によって残業代が請求出来ない方でも、一定のラインを超えた場合には残業代が発生します。

    今回は、残業代が請求出来ないケース出来るケースについて確認していきましょう。

    1.契約形態によって残業代の判断が難しいケース

    (1)裁量労働制(みなし労働)

    裁量労働制とは、営業職や会社の外で仕事をすることが多い業務に該当する方など

    労働時間を管理することが難しい職務の方に多い契約形態です。

    裁量労働時間で残業代の請求ができないケース

    裁量労働制ではみなし労働時間という、あらかじめ1日の労働時間が定められています。つまり、何時間働いたとしても定められた労働時間分働いたとみなされる契約です。

    みなし労働時間が8時間と設定されている場合、実際には10時間働いていても8時間とみなされるため、8時間を超えている分に対しての残業代は発生しません。

    みなし労働時間の考え方

    裁量労働制で残業代が請求できるケース

    労働基準法では1日の労働時間は8時間と定められています。みなし労働時間が8時間を超えて設定されている場合には、超えている部分は時間外労働となり残業代の請求が可能です。

    みなし労働時間で残業代がでるケース

    裁量労働制についての詳細は下記をご確認ください。

    裁量労働制は労働者にとって損?得?裁量労働制とはどんなものかを知ろう

    (2)年棒制

    年棒制とは、支払われる給与の合計額を1年単位で決定する給与形態を言います。プロ野球のニュースなどで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

    近年では、企業でも年棒制を採用しているところが増えています。

    年棒制で残業代が請求できないケース

    年棒制の場合、「ひと月あたり◯時間の時間外手当を含む」という契約になっている場合には、すでにその時間分の手当が年俸の中に含まれているとい判断になりますので、その時間分は残業代が発生しません。

    年棒制で残業代が請求できるケース

    上記でご説明したように「ひと月あたり◯時間の時間外手当を含む」という契約の場合、その時間分の時間外手当をもらうことは出来ませんが、その時間を超えた部分に対しては残業代の請求をすることが出来ます。

    (3)どのようなケースでも時間外手当は請求できます。

    裁量労働制や年俸制であっても、以下のような手当は請求することが可能です。

    深夜や休日に仕事をした場合

    深夜(22時~翌5時)の労働、法定休日の労働には、それぞれ「深夜手当」「休日手当」の支給が法律により定められています。

    深夜に該当する時間帯や法定休日に働いた分に対してはそれぞれの手当の請求を行うことが可能です。

    深夜、休日の割増率

    所定休日に出勤した場合

    所定の休日に出勤した場合、その週の労働時間が40時間を超えている場合には、残業代の請求をすることが可能です。

    2.管理監督者は注意が必要

    管理職と呼ばれる職務に付いている方の場合、残業代が出ないというケースも多いのではないでしょうか?

    労働基準法では「管理監督者」について以下のように定めています。

    管理監督者の要件

    上記に該当せず、役職名だけが「課長」や「部長」など管理職とされているような場合には、残業手当や休日出勤の手当を請求することが出来ます。

    深夜手当は対象となる

    管理監督者の場合、残業代や休日手当を受けることが出来ませんが、「深夜手当」は別です。22時~翌5時の間の労働は深夜割増賃金の対象となります。

    管理職だから深夜手当が出ないということはありませんので、深夜手当が発生していないという場合には、きちんと請求しましょう。

    3.未払い残業代を請求するには

    (1)会社に直接聞いてみる

    未払いの残業代を請求する最も平和的な解決方法は「会社に直接聞いてみる」という事になります。

    もしかしたら、残業代を反映させることを忘れてしまっているだけかもしれません。給与が支給されたら、しっかりと内容を確認し、残業代が支払われていない場合には上司等に確認してみましょう。

    未払い残業代の請求について▶ 未払いの残業代を請求する方法

    (2)悪質な場合には弁護士に相談!

    会社に聞いてみても理不尽な理由で支払われないなど、悪質な場合には、弁護士に相談するという方法もあります。弁護士に相談する場合には、以下の書類を準備しておくと話しがスムーズに進みます。

    • タイムカード等、実際の労働時間のわかるもの
    • 給与明細
    • 雇用契約書
    • 就業規則 等

    残業代請求を弁護士に相談する方法▶ 未払いの残業代請求を弁護士に相談するメリット

    (3)残業代の請求には時効がある!

    未払い残業代は時効があります。給料日から起算して2年経過すると過去の残業代を取り戻すことはできません。もし、長期に渡って残業代が支払われていないという場合には、早めに弁護士に相談しましょう。

    残業代の時効について▶ 残業代請求の時効は2年間!時効を中断させる方法とは

    まとめ

    労働基準法では1日8時間、週40時間という法定労働時間を定めています。

    どのようなケースであっても、この法定労働時間を超える場合には時間外手当を請求することが出来ます。そのため、法定労働時間に遵守した労働契約であることが原則です。

    『会社にこう言われているから』という理由で、本来支給されるはずの残業代を諦めているかたも多いかもしれません。どのようなケースであっても、残業代が発生するケースがあることを理解し、ご自身の労働に対しての正当な対価を請求しましょう。

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